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姑獲鳥の夏 [ミステリー]

A「だからさ、結局ココロってのは脳内の電気信号から生じるものなの?
それとももっと別の、自身に刻まれた記憶みたいなのから生まれるものなの?
どう思う?」

B「いや、電気信号でしょ。」

「え~なんでよ、それじゃ仮想現実の原因は?どうやって脳はココロをだますんよ?」

「だから電気信号で騙すように指示を出すんでしょ。」

「じゃあその信号を出すのは誰なん?
仮想現実におちいる目的がトラウマの回避だとすれば、トラウマを感じるココロが脳に電気信号を出させるんじゃないの?」

「そもそもココロっていう器官はないでしょ。」

「そりゃそうだけど、生きてくらしてる間にいい事やいやな事やいろいろ経験したりさぁ、
もちろん親とか周りの環境とかもあるだろうし、そういうのがこう記憶に積み重なって判断基準になってココロを形成するんじゃないの?」

「だから電気信号でしょ。

  ・・・ところでこの話は物語の話?リアルの話?」

「・・・どっちだったけな。」

「SFでしょ。」

「・・・SFだったね。
・・・Sは必要なん?」

「どっちでもいいんじゃない。」

「そだね。・・・でもココロってどこにあるか分からんけど絶対どっかにある。けどよくわからんな。」

「そんなもんでしょ。」

「てか俺は結構現実派な人間だと思ってたけど、変なところでロマンチストかもと思った。
・・・気持ち悪ぃ。」

「それはそれでいいと思うよ。」


・・・



そもそも姑獲鳥(うぶめ)って読めなかった。
まあそれはいいとして。

知識が知恵になるように、日常でもふと過去の経験や会話が直面する問題の重要なヒントとして
つながるってことはたまにあって、大きな感動というか、快感というか、感じることがあるけど、
京極夏彦はそれを見事に凝縮していてるようで、とても気持ちよかった。

上の会話は読後に実際にあったものです。が、実際とは結構違ってる気がする。
ストーリーとはあまり関係ないかも。

そういえば作中で京極堂が
柳田國男の論文は文学と間違うくらいだみたいなことを言っていたけど
いやいやあなたの文学は論文かと思いましたよと言いたくなりました。
いい意味で。



文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 文庫



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