SSブログ

すべてがFになる 森博嗣 [ミステリー]

「プログラムで支配された研究島に、女子大生と大学助教授が挑むっ!」


……なぁんて書くと語弊がありますが、まあそれはそれとして。
個人的ですが、非常に大好きな作品です。
今までの読書暦の中で、ベスト3に必ず入ります。
誰にも彼にもオススメしたい、あぁ、読ませたい……。
そして一日中、語り合いたい――――。


……失礼しました。少し取り乱したようです。元に戻しましょう。


ここまで計算された文章は、お目にかかったことはありませんでした。
徹底的に無駄を排除した文体。
本物のように見えて、実は計算されたフェイク。

どの文字が欠けても成り立たないような完成形。
まるで、プログラムの結晶で咲き乱れる水晶の花、とでも言いましょうか。
とても論理的な思考で、芸術的なまでに美しいミステリィを書かれていらっしゃいます。


そして、文章の切れ味が凄い。
日本刀でばっさり切られたかのような感覚を味わえる一品でございます。


更には、読み返すごとに理解が深まる伏線が素晴らしい。
さりげなく、そして優しく隠された伏線の一つ一つは、最高の手品のようでしたよ。
あまりの本文の切れ味に、幾つかの伏線は見落としてしまうでしょう。

それでも全然、楽しいのです。
それくらいに魅せてくれます。


隠された種明かしは、分かった読者がニヤニヤして楽しむものでしょう。
手品師に、手品のトリックを突っ込む事ほど野暮なことはございません。
観客の前で、トリックを大声で叫ぶほど迷惑なことはございません。


騙されるほど楽しいのが、ミステリィの至福というものでしょう


すべてがFになる (講談社ノベルス)

すべてがFになる (講談社ノベルス)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。