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巷説百物語 |京極夏彦 [ミステリー]

「御行奉為―」

騙し騙されが世の常なれば、小股潜りの手練手管を御覧あれ。

と、言うわけで時代物です。
特に違和感も無く、すらすらと読めました。
京極夏彦先生の本を読んだことのある人は、問題なくその世界に浸れるでしょう。

そして、「この世に不思議なものなど無い」というスタンスも健在。
妖怪も健在。ここら辺は鉄板です。外せません。
言うなれば、御飯に味噌汁のような組み合わせでありましょう。
これをなくして日本の朝は語れない、というか、そんな感じ。

まあ、この本を一言で表すなら、京極版『必殺仕事人』といったところでしょうか。
しかし、それだけで語りつくせる物語であるはずもないのです。
是非、この本を読んで『物語』を終わらせてください。
散らした伏線を、一気に引き上げるがごとく解決する様は、まるでミステリ領域の技。

そう、これは時代本格ミステリだったのだ――

神秘は時を遡れど色褪せず、さらにその輝きを増して誕生した。
謎解きの伏線は今も、誰かに解かれるのを待っている。

さあ、あなたもご賞味あれ。


続巷説百物語 (角川文庫)

続巷説百物語 (角川文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/02/24
  • メディア: 文庫



タグ:京極夏彦
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すべてがFになる 森博嗣 [ミステリー]

「プログラムで支配された研究島に、女子大生と大学助教授が挑むっ!」


……なぁんて書くと語弊がありますが、まあそれはそれとして。
個人的ですが、非常に大好きな作品です。
今までの読書暦の中で、ベスト3に必ず入ります。
誰にも彼にもオススメしたい、あぁ、読ませたい……。
そして一日中、語り合いたい――――。


……失礼しました。少し取り乱したようです。元に戻しましょう。


ここまで計算された文章は、お目にかかったことはありませんでした。
徹底的に無駄を排除した文体。
本物のように見えて、実は計算されたフェイク。

どの文字が欠けても成り立たないような完成形。
まるで、プログラムの結晶で咲き乱れる水晶の花、とでも言いましょうか。
とても論理的な思考で、芸術的なまでに美しいミステリィを書かれていらっしゃいます。


そして、文章の切れ味が凄い。
日本刀でばっさり切られたかのような感覚を味わえる一品でございます。


更には、読み返すごとに理解が深まる伏線が素晴らしい。
さりげなく、そして優しく隠された伏線の一つ一つは、最高の手品のようでしたよ。
あまりの本文の切れ味に、幾つかの伏線は見落としてしまうでしょう。

それでも全然、楽しいのです。
それくらいに魅せてくれます。


隠された種明かしは、分かった読者がニヤニヤして楽しむものでしょう。
手品師に、手品のトリックを突っ込む事ほど野暮なことはございません。
観客の前で、トリックを大声で叫ぶほど迷惑なことはございません。


騙されるほど楽しいのが、ミステリィの至福というものでしょう


すべてがFになる (講談社ノベルス)

すべてがFになる (講談社ノベルス)

  • 作者: 森 博嗣
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/04
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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姑獲鳥の夏 [ミステリー]

A「だからさ、結局ココロってのは脳内の電気信号から生じるものなの?
それとももっと別の、自身に刻まれた記憶みたいなのから生まれるものなの?
どう思う?」

B「いや、電気信号でしょ。」

「え~なんでよ、それじゃ仮想現実の原因は?どうやって脳はココロをだますんよ?」

「だから電気信号で騙すように指示を出すんでしょ。」

「じゃあその信号を出すのは誰なん?
仮想現実におちいる目的がトラウマの回避だとすれば、トラウマを感じるココロが脳に電気信号を出させるんじゃないの?」

「そもそもココロっていう器官はないでしょ。」

「そりゃそうだけど、生きてくらしてる間にいい事やいやな事やいろいろ経験したりさぁ、
もちろん親とか周りの環境とかもあるだろうし、そういうのがこう記憶に積み重なって判断基準になってココロを形成するんじゃないの?」

「だから電気信号でしょ。

  ・・・ところでこの話は物語の話?リアルの話?」

「・・・どっちだったけな。」

「SFでしょ。」

「・・・SFだったね。
・・・Sは必要なん?」

「どっちでもいいんじゃない。」

「そだね。・・・でもココロってどこにあるか分からんけど絶対どっかにある。けどよくわからんな。」

「そんなもんでしょ。」

「てか俺は結構現実派な人間だと思ってたけど、変なところでロマンチストかもと思った。
・・・気持ち悪ぃ。」

「それはそれでいいと思うよ。」


・・・



そもそも姑獲鳥(うぶめ)って読めなかった。
まあそれはいいとして。

知識が知恵になるように、日常でもふと過去の経験や会話が直面する問題の重要なヒントとして
つながるってことはたまにあって、大きな感動というか、快感というか、感じることがあるけど、
京極夏彦はそれを見事に凝縮していてるようで、とても気持ちよかった。

上の会話は読後に実際にあったものです。が、実際とは結構違ってる気がする。
ストーリーとはあまり関係ないかも。

そういえば作中で京極堂が
柳田國男の論文は文学と間違うくらいだみたいなことを言っていたけど
いやいやあなたの文学は論文かと思いましたよと言いたくなりました。
いい意味で。



文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

  • 作者: 京極 夏彦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/09
  • メディア: 文庫



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サイコロジカル 兎吊木垓輔の戯言殺し(上)曳かれ者の小唄(下) [ミステリー]

――――天才たちの饗宴、再び。


陸の孤島――斜道卿壱朗研究施設で起こった殺人事件。
またもや異端者《イレギュラー》として巻き込まれた、戯言使い。

異才と天才は、果たして混ざり合うことがあるのだろうか――――。

戯言世界は、止まることを知らないのか。
誰も彼もがひねくれたキャラクターで、まっすぐなところがない。

なのに、どうしてこんなに魅力的なんだろう。

会話のセンスも。動作も。一つ一つが変だ。
それぞれのキャラクターで小説一本書けそうなくらいじゃないのか?

……と邪推してしまうくらいの異彩を放っているではないか。

満足していることは、魅力ではない。
満足しているということは、終わっているということだ。
何処かしら欠けている彼らは、常に何かを求めようとしている。

天才は、凄く魅力的だ。
ならば、天才であるということは、何かしら欠けているということではないか。

人は満足を求めて生きていると思う。
満足するために生きていると置き換えてもいい。
欠けた場所を埋めるために、色々なことをする。

多彩で異才な天才たちは、何を以って自分の欠けた部分を埋めようとするか。
それは読んでのお楽しみ。

この本で、欠けた部分を埋めてみてはいかかですか?


西尾維新『戯言シリーズ』


クビキリサイクル
クビシメロマンチスト
クビツリハイスクール
サイコロジカル(上)(下)
ヒトクイマジカル
ネコソギラジカル(上)(中)(下)





サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)

サイコロジカル〈上〉兎吊木垓輔の戯言殺し (講談社ノベルス)

  • 作者: 西尾 維新
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 新書



サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

サイコロジカル〈下〉曳かれ者の小唄 (講談社ノベルス)

  • 作者: 西尾 維新
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 新書



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クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子 [ミステリー]

澄百合学園――――《特権階級養成学校》と周囲に揶揄される、
言わばお嬢様学校。

ただしそれは、《外側》から見た話。
此処に通う生徒たちは皆、《首吊学校》と呼ぶ――――。

意味深な単語が、読者の心をくすぐってくれます。
登場人物も個性派揃いで、相変わらずドキドキです。

一人の娘っ子を救い出すために、単独潜入。

そこは流石に《首吊学園》。一筋縄では参りません。
だって女子高だもんね(主人公は男)。

神算鬼謀の騙し合い、みたいな頭脳プレーって素敵ですな。

「策士、策に溺れるとはこのことよ。ふははははぁーっ!」
とか、ふんぞり返って言ってみたい。

やはり西尾維新、心のツボを突いてくる突いてくる。

設定やキャラクターが、好みの幅を広げてくれました。
それに加えて、韻を踏むような文章で軽快に読めてしまう、
良い意味でのライト感覚。

そりゃ、面白いわけだ。

今回はミステリー度数が少ないですけど、伝奇度数が高めです。
バトル好きとしては、納得でしたよ?
血が嫌いな方は、ご用心。

でわっ!

西尾維新『戯言シリーズ』

クビキリサイクル
クビシメロマンチスト
クビツリハイスクール
サイコロジカル(上)(下)
ヒトクイマジカル
ネコソギラジカル(上)(中)(下)

クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子 (講談社ノベルス)

クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子 (講談社ノベルス)

  • 作者: 西尾 維新, take
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/08
  • メディア: 新書


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