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かもめのジョナサン|リチャードバック [文芸]

ジョナサンが凄い。

いや、ぶっちゃけ彼は『かもめ』ですけどね。そのままです。
本当に嘘偽り無く、真実を伝えようとしているタイトルです。
ええ、ジョナサンは凄くて『かもめ』なのです。
むしろ、彼が『かもめ』であるからこその物語なんですが。

えー、かもめかもめ連呼しましたが、何か早口言葉作れそうですね。
と、そんなことはどうでもいいですが、写真で見ると『かもめ』って意外と野生動物でした。
見事に鳥でした。
個人的に、鳥には『あと一歩足りないけど完成されたイメージ』があるんですけどね。
飛ぶように生まれてきた動物って凄いけど、いろんなものを削ぎ落としてるじゃないですか。
でも、その形が美しい。

一点を目指す、ただ飛ぶ、ということだけを突き詰めることができる綺麗さを感じたとき、筆舌し難いものが鮮やかに心を打ちます。

そのことを伝えるための、『かもめ』だったのだと思います。
鷹のように狩りに優れるでもなく、鶴のように足が長いわけでもありません。
どこか間抜けそうで、これといった特徴の無い鳥を選んだ結果。
それが『かもめ』でありジョナサンなのです。

所詮、誰かと競い合うことは有限で、いつか絶対に限界が来ます。
それは生物である限り当たり前のことで、逃げられないし逃げる必要もないのです。
一応言っておきますが、努力に意味が無いわけではありませんよ? 
誰かに勝つということだけを最終目的にしても虚しい、ってことです。

必要なのは、ありのままを理解しようと努力する、ということでしょうか。
つまり、愛なのです。

それがなかなか、難しいのですが(笑)。



かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

  • 作者: リチャード・バック
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1977/05
  • メディア: 文庫



かもめのジョナサン - Jonathan Livingston Seagull【講談社英語文庫】

かもめのジョナサン - Jonathan Livingston Seagull【講談社英語文庫】

  • 作者: リチャード バック
  • 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
  • 発売日: 2007/02/01
  • メディア: 文庫



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エディプスの恋人|筒井康隆 [文芸]

えー、何かこういう形で文章を書くのがすごく懐かしいです(汗)。
まあ、そんなことはどうでも良いですね。
さっさと次に行きましょう。

本の読み貯めをしておこうかな、と思い、買い込んだ本の中の一冊でした。
言わずと知れた多才な文豪の作品です。
この方の感性の鋭さには、脱帽を通り越して脱皮しても良いくらいじゃないでしょうか。
本書はセカイ系の最先端じゃないかな、と読書量が少ない人間が言ってみる。
「ビアンカ(略)」も記憶に新しいですよね。
そう考えてみれば「パプリカ」なんかもありました。
活躍し放題ですね。あこがれます。

さて、中身のお話。

「家族八景」「七瀬ふたたび」に続く、七瀬シリーズ三部作の最終章です。
あ、凄ぇ、シリーズ物でしかも最後にこういうことやっちゃうんだ。と思いました。
何が「こういこと」なのかは、読んでみて確かめてみてください。
しかしまあ、先見の明ですよ。時代を先走ってますね。七瀬と「彼」を取り囲んだチンピラの如く。
思えば女性に肉食系が増えたとか言われてますし。
こういうのも、感性なのでしょうなぁ。

ストーリーも、ミステリーに通ずる話の流れ方をしているので、非常に読みやすく、適度な緊張を持って読み進められます。
それでいてSFの広がりを見せる世界観が、読者の心の手綱をうまい具合に操ってくれます。
終盤の引き締め方などは、前作を読んでいるとより怖気を誘われることでしょう。
ネタバレ覚悟で話したい事柄もありますが、そこは是非、本書で味わってもらいたいので、何もいえません。
ただ、本を読みなれている人こそ衝撃が強いものになるでしょう。
常識でものを考えていては、罠に嵌められること間違い無しです。

ちなみに、この本に出てる「彼女」。超強いから気をつけてください。勝てません。


エディプスの恋人 (新潮文庫)

エディプスの恋人 (新潮文庫)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1981/09
  • メディア: 文庫



タグ:筒井康隆
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グラスホッパー | 伊坂幸太郎 [文芸]

もうおなじみですね。
『陽気なギャングが地球を回す』、とか、『重力ピエロ』が映画化されているので凄く有名な著者の方だと思います。

ええ、ぶっちゃけると、有名だから読んでみました。

有名な作品には触れておかねば、という浅ましい考えですいません。
ミーハーな人間はこれだから困ります。っていうか、ミーハーの意味を説明できませんが、何となく使います。すいません。

さて、まあ題名からして『グラスホッパー』。つまりはバッタ。飛蝗。ちなみにイナゴは蝗。
虫に皇と書くなんて、なんと偉そうな名前だ。すげーかっこいい。
……閑話休題。
こいつら飛蝗は集団を形成すると、性格が悪くなって、災害規模の襲撃をしてくるらしいです。まさに非行に走ったといえますね。盗んだバイクで蝗ライダーですか。
(大変失礼しました)
どこかの洋画で、大量のイナゴが襲ってくる映画があったなぁ、などと思い出しました。

一応言っておきますが、『グラスホッパー』はバッタの小説ではありませんよ。
まあ、蝉と鯨と押し屋は出てきますけどね。鈴木もいます。
彼らが主軸となって、物語が展開していきます。
殺し屋たちと普通のおっさんが繰り広げる、殺しの様相が手に汗を握らせるでしょう。

凄くない人間だって、生きてるんだ。がんばるんだ。

そう思わせてくれた普通のおっさん=鈴木。
これが特殊な能力に目覚めた高校生なら、また話は違うんでしょうけどね。
現実はそんなに甘くないよ、と。
おっさんだろうが爺さんだろうが、生まれてきたばかりの赤ん坊だとしても、一生懸命にならなくちゃいけないことがあって。
それにどれだけ真剣になれるか、っていうのが大事だと思いました。

不恰好でも、弱くても。馬鹿でも。やっぱり格好良さってのは、心に伝わるもんですね。


グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 文庫



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泥棒に追い風 | 赤川次郎 [文芸]

「夫は泥棒、妻は刑事」シリーズ。
いや、何ていうかね、このシリーズ大好きなのですよ。
っていうか、道田くん最高。
相変わらずの活躍に、愛が止まりません。

夫が泥棒で妻が刑事なら、捕まえればいいだけの話なんですが。
妻は夫に尋常でないほどほれているのです。
それはもう、凄く愛しています。
そして愛し合ってます。
(内容の方は、本書を読んでお確かめ下さい)

でさぁ、夫の方も、どこのアクション映画の主人公だよ
と突っ込みを入れたくなるくらいのナイスガイ。
多分、どんな状況に放り投げられても、確実に生還するタイプの人間だと思われます。

さて、シリーズというからには、色々な話が存在するのですが。
今回は、リストラされた中年男と裏社会の若き女社長が登場します。

ええ、毎度のことですが、ロマンスありです。
世万の無い小説は、小豆の無い赤飯のようなものです。

そう、それでは単なる『もち米の蒸したやつ』になってしまうのです。

さあ、小豆を入れてもち米を炊こう。
そして、お好みで胡麻塩を用意するのもいいだろう。
飾り付けの南天の葉も悪くない。

きっと、出来立ての赤飯は美味しいに違いない。





泥棒に追い風 (トクマ・ノベルズ)

泥棒に追い風 (トクマ・ノベルズ)

  • 作者: 赤川 次郎
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2008/11
  • メディア: 新書



タグ:赤川次郎
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国境の南、太陽の西 |村上春樹 [文芸]

この本を読んで、最初に思ったこと。

「幸せそうな人生を送っても、人間って重箱の隅をつつくように不満の種を見つけてくるよね」

まるで、空気の中で溺れるような気分を味わいました。
「だって、どうにもならねぇじゃん」と言うしかない。

人間、生きてればそれなりに我慢しなくちゃいけないことがあって。
どうして我慢するのかと聞かれれば。
やっぱり、先を見てしまうから面倒に思えてくるのです。

雨の中を「ひゃっほーっ」とか叫びながら走るには、歳を取りすぎた。
直に雨粒に打たれる感触も、濡れた服の冷たさも、想像が出来てしまう。
感情のままに動き出すことが、難しい。
濡れた服を洗濯機に突っ込み、暖かいシャワーを浴びる時間が勿体なく思えてしまう。
無駄な時間を過ごしたくないのかもしれない。

人生という制限時間の中で、終わりを想像しない時代が確かにあった。
それがすべて幸せだったとは言わない。
我慢もしたし、間違えたし、苦しいこともあった。
だけど、時間が無駄だなんて思っている暇が、無かったように思えるのです。

一日が、一生懸命に短かった。

きっと、歳をとってから思い出すことになります。
そして、酒の肴にして笑い合うのです。
「あの時は、若かったなぁ」
と、呟くことになるでしょう。

この物語は。
ある人にとっては、慰めになり。
ある人にとっては、悪夢となる。

ま、人生なんてそんなもんです。ラララ~。


国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/10
  • メディア: 文庫



タグ:村上春樹
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